人として何か欠けてる




「私、は……私は……欠けてなんかいません!」


気がついたら、俺は彼女に顔を掴まれていた。
両手で頬を壊れ物のように扱い、俺より幾分背の低い彼女はニコリと笑った。
そして、俺は大学のエントランスのど真ん中で、かつ公衆の面前で彼女にキスをされた。


「なあああああああああああああ!?」


その時、久保田は酷い大声を出して周りを驚かせていた。


「あ、あ、あ、あんた何してんのよ!?」


「この人は……私のものです! 絶対に渡しません!」